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うさびさんのサブストーリー |
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| 「prologue」 |
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風が冷たくなった気配を感じながら、ふと足元に目を止める。 素足をさらう波がまだ少し温かくて心地いい。 うさびは新しく開かれた「キャズウェル」の造船所近くの海辺にきていた。 顔を上げて空を見上げる。雲が流れ、鳥が軽やかに海を渡っていく・・・。 「あの鳥はどこまでいくんだろう?あの生まれ故郷までいくのかな・・・。」 |
| 「第1章」 |
うさびが生まれたのは首都パゴールに近いラスランという町だった。 なにも面白くはなく、ただ職人達が灯をともすように暮らしている町。 うさびはこの町が嫌いだった。 うさびの本名は自分でさえ忘れていた。 なんでも、USBとかいうらしいが、その名前をつけた親でも めったなことではそう呼ぶことはなかった。 うさびの父親は昔は名の知れた剣闘士であったらしいが、 今では見る影もない。 酒におぼれて仕事などすることはなかった。 家計を助けていたのは母親で、わずかに人から受けた服の修理を するという内職で生計をたてていた。 うさびは、剣裁という能力を生まれながらに持っていたが それは両親の職業で決まるというただの能力であった。 その能力を発揮するにはギルドで腕を磨く必要があり、 特に裁縫士のスキルを持つ者には苦労がつきまとう。 普通、剣裁というスキルを持つものは10歳にでもなると 首都パゴールのギルドへ所属し能力を磨く。 しかし、その年をとうに越えているのにうさびはギルドへは赴かなかった。 両親への反抗。それもあったかもしれない。 だが、自分の心のどこかで【何かが違う・・・・・】 そうささやくようにモヤモヤしたものがあった。 いつかはこの町を出てやるんだ・・・。 幼い頃からうさびはそう心に決めていた。 何が嫌だったのかは今ではもう思い出せない。 ただ、この町から出たい。それだけが心の中を占めていた。 いつものように、ラスラン造船所の近くで小船に乗り込み 空を見上げる。 「このままでいいのかな?だけど・・。」 うまくいえない感情が湧きあがる。 「あ〜〜〜〜!もぉ、やだっ!!」 手元にあった石を海へと投げこんだ。 「なにが、もうやだ!なの?」 振りかえると、いつもの少しあどけない笑顔。 「なぁんだぁ・・・。おーりかぁ・・・。」 「なんだはないでしょ。心配してきたんだよ」 そう言うと、おーりはうさびの横に腰を下ろした。 「また、ギルド来なかったでしょう・・?僕はもうスキル6ですよ?」 「へぇ〜〜〜〜・・。おめでと」 「なんだか・・心がこもってないような・・・w」 うさびはふと、おーりをみつめた。 黒い髪と、あまり他では見られないロイヤルリベットと呼ばれる防具。 赤く染色されたその鎧はいかにも、おーりに似合っている。 「それ、いいよねぇ。女物のリベットって赤ないよねぇ」 「そうだよね?女物にも赤があっていいのにね」 笑った顔がやっぱりまだあどけない。 おーりと呼ばれるこの少年はうさびの幼なじみだった。 父親が昔、おーりの父親とパーティを組んでいたことがあり 今でもたまに一緒に酒場へ行くこともあった。 うさびとは違い、言葉使いからも育ちのよさがうかがえる。 おーりの生まれは首都パゴールで、父親は兵舎の兵舎長を勤めている。 母親は、ラスランとパゴールに二店の洋服屋を持つ腕利きの裁縫士だった。 確かにおーりの生まれた環境は恵まれているかもしれない。 しかし、それをひけらかすでもなくその生まれた戦裁のスキルを嫌がるでもなく 自分自身の力で裁縫士になろうとする、その目の輝きがうさびにはまぶしかった。 「おーりは・・考えたことない?裁縫士になっていいのかな?って」 「うーん・・。ないですね。僕には夢がありますから!」 「そっか・・・。いつか、ベルク1の裁縫士になる?w」 「笑いましたね?何言ってるんですw、ガディウス1の裁縫士になりますよ!」 おーりにつられて、うさびも笑った。 「おや、おーりくんではないか?久しぶりだね」 声に振りかえると、魔法使いギルドのマスターがこちらに近づいてくるところだった。 「はい、お久しぶりです。あ、マスターの注文されていたローブ 母ができあがったと申しておりました。のちほど僕がお届に伺います。 お時間はよろしいでしょうか?」 「ああ、いつでもかまわんよ。よろしくな」 魔法使いギルドマスターを見送ると、おーりはうさびを振りかえり 「ふぅ」 とため息をもらす。 「しかしまぁ・・・。有名人の子供は大変だねw」 「何ゆうてんねんw」 二人して顔を見合わせて笑った。 たまに気を許した時にだけ出る、この方言がうさびは好きだった。 「じゃ、いきます。気が向いたらギルド・・来なさいよ?」 「気が向いたら・・・・ね」 「じゃあね」 「うん、じゃね」 おーりの後姿を見送りながら考える。 「夢・・・・か・・・・」 うさびには夢がない。ただ毎日を生きているだけ。 だからこそ、おーりがまぶしくうつる。 「いつか・・・・なれるといいね・・・」 そうつぶやいた。 |
| 「第2章」 |
17歳になったある夜、うさびはいつものように父親と口論になった。 うさびがいつまでもギルドへ行こうとしなかったため父親と喧嘩になったのだ。 「もう帰ってくるんじゃねぇ!!二度と戻るな!!」父親の罵声が飛ぶ。 「ああ、わかったよ!こんな家、出ていってやる!」 「出ていけ!二度とそのつら見せやがったら承知しねぇぞ!!」 うさびは思わず家を飛び出した。 背後から母親の泣きながら叫ぶ 「待ちなさい!戻ってきて!」 その言葉さえ、うさびの耳には届かない。 「戻るもんか!!」 そう心で叫びながら雨の中を走りつづけた・・・・・。 いつものように造船所へと雨をくぐりぬけて逃げ込む。 ガタガタと震える体を、その辺にあった古い毛布で包みこみ目を閉じる。 涙は出なかった。いつも泣かないことにしていた。 もう、涙など出なくなったのかもしれない。 「うさびさん・・?そこで何してるんです?」 声に振りかえると、そこには18歳の青年に成長したおーりがいた。 うさびは答えなかった。 「!!びしょ濡れじゃないですか、早く家に帰りなさい」 おーりはそっと近寄って、うさびに傘をかかげた。 「帰らない・・・・・・・」 「はぁ?なんやて?」 おーりの口調が変わる。本当に心配してくれているのだ。 「帰らない!もう二度と!」 そう叫んでうさびは、おーりの差し出した手をはねのけて走り出した。 「ばかやろ!戻ってこんかい!うさび!!」 おーりにも、もう二度と会えないのかもしれない。 だが、今はこうして走るしかなかった。 何に向って?それすらもわからない。 ただ、無我夢中で走りつづけた。 冷たい雨が頬を打つ。体が凍えていく。 前へ、前へ。何が駆り立てるのか。 わからない・・・・・・・・・。 ふと、うさびは顔を上げて雨の中に立ち尽くす。 真っ暗な闇の中から降り注ぐ雨に、すべてを流してしまいたかった。 長い湿原を抜け、たどり着いた首都パゴール。 街の入り口では商人達の掛け声が飛んでいる。随分と活気がある街のようだった。 「しばらく、、ここに住むかな・・・。」 身も心も疲れ果てていたうさびはサンティホール盆地で野宿をすることにした。 何日かが過ぎ、時折現れる夜盗のなれのはてのバンディットや 吸血コウモリにも慣れてきていた。 ある朝のことだった。 いつものように固い地面で目を覚ますといい香りが漂ってくる。 「だれ!?」 ふと気配に目をやると一人の青年が食事を作っていたところだった。 赤い髪の優しそうな青年。それが第一印象だった。 腰には剣を携えている。戦士だろうか? 「おや、目がさめましたか?だめですねぇ。。 女の子が一人でこんなところで野宿なんかしていては」 優しい微笑みにうさびは身をぎゅっと縮めた。 「あ、すみませんね。紹介が遅れてしまいました。僕は☆オクタ☆といいます。 普通にオクタと呼んで頂いてけっこうですよ」 そういいながらオクタは、手もとのカップにスープをついでうさびの方へ差し出した。 うさびが警戒していることに気がついたのかオクタは地面へそっとカップを置いた。 「大丈夫ですよ、なにもしません。さ、スープが冷めないうちにどうぞ。」 うさびはそっとカップに手を伸ばした。 「あたたかい・・・。」スープの湯気がそっと空気に溶ける。 「どうして女の子が一人でこんなところにいるんです?この辺は物騒でしょう?」 「かまわないよ。もう慣れてる」 ぶっきらぼうに言葉を返した。 オクタは、責めることも同意することもなく、黙って座っていた。 「そうですね・・・少し僕の話しでもきいてもらえませんか? 一人で旅をしていると無性に誰かに話を聞いてもらいたいこともあるんです」 オクタがうさびのほうへ向き直り、そう言った。 うさびはただコクンとうなづいた。 それから、オクタは自分の出生・今までの旅をおもしろおかしく うさびに次々と話していく。どんな敵に会ったか。どんな人たちと出会ったか。 そんな話しを時折冗談を交えながら話していた。 うさびはただ黙って聞いていた。 たまには、誰かと話したくなる。 そんな気持もわかる気がした。 いつのまにか日が落ちて、辺りに夕闇がさす頃今までの疲れが出たのか うさびはゆっくりと眠りに落ちていった。 オクタは焚き火を守りながら考えていた。 「まだ幼いであろう女の子が一人で旅をするなんて・・ よほどの事情があるのでしょうか・・・。」 ふと、目線をやってから自分の持っていた毛布をうさびにかけると オクタはゆっくりと立ちあがった。 辺りにいやな気配が漂ってきていた。 草むらからバンディットが2匹・・3匹とこちらの様子をうかがっている。 「やれやれ・・・。もう少し眠らせてあげてくださいよ。全く・・・。」 オクタは、腰につけた剣をはずすとゆっくりと両手を空に掲げた。 「我は命じる。氷の守護神サーディカの御名においてここに消魔の叫びを!アイスミサイル!」 辺りにするどい爆音が鳴り響く。バンディットたちは粉々になり、 ガラガラと音を立てて崩れ去った。 「何がおきたの・・・?」 まだ眠い目をこすりながらうさびは目を開いた。 そこにいたのは今までの優しい表情のオクタではない。 まだ魔法がいきているのか、氷の魔法に包まれている。 厳しく荘厳なまでの輝き・・・・・・・。 「起きてしまいましたか・・?まだお眠りなさい。ゆっくり・・・」 オクタの手がうさびの目を覆い隠した。 すると不思議なように眠りへといざなわれる。 何かの魔法をかけられたように再びうさびは深い眠りへと落ちていった・・・。 翌朝目がさめると、もうそこにオクタの姿はなかった。火がまだ暖かい。 ふと枕元に目をやると1通の手紙があった。 「よくお眠りのようなので、起こさずに行きます。 これからのあなたの旅がよいものでありますよう」 そして、ランスの入った袋と食料。 うさびは思わず走り出した。まだ近くにいるはず・・・! しかし、オクタの姿はもう、どこにもなかった。 「ありがとう・・・・。」うさびは手紙を抱きしめながらそうつぶやいた。 ふと涙がこぼれる。どうしてだろう? 今までどんなことがあっても涙などみせずにやってきた。 泣きたくない。いつもそう思って生きてきた。 しかし、今頬をつたう涙をぬぐいもせずにうさびは立ちあがり、空を仰ぐ。 うさびの髪を新緑の風が通りぬけていく。 「いつかまた・・・・会えるのかもしれない・・・・」 そんな気がした。 |
| 「第3章」 |
オクタと別れてから幾日が過ぎただろう。 うさびは未だに盆地から出られずにいた。 住みなれた場所であったのもあるが 外界との接触をしたくなかったのもあるかもしれない。 何度も何度も、辛くなったときはオクタの手紙を 繰り返し読んでは自分を奮い立たせているしかなかった。 ある暖かい日。 うさびはいつもの川のほとりにいた。 水を少しすくって飲んでみる。 「ふぅ。。」顔も洗ってついでに水浴びでもしようか・・・? 久しぶりに暖かくもあり、うさびは木立の影でリベットを脱いだ。 袋の中から体を洗うためのタオルを取り出していたその時・・・。 「パキッ」 小枝が折れる音でふと振りかえると、 そこには見たこともないモンスターがいた。 緑色が黒ずんだような色の筋肉が盛り上がった体と 口からは不気味な笑み。 両手には何人を撲殺したのだろう、 血痕がまだ生々しいぐらいこびりついたハンマー。 「だめ・・・・。もうだめ・・」 うさびの脳裏にふと両親の顔がよぎった。 なぜだろう、もう思い出すこともないと思っていたのに。 ハンマーオークはじりじりとにじり寄ってくる。 うさびはぎゅっと目をつぶった。 モンスターの雄たけびが聞こえる。 何も見えない。聞こえない・・・。 うさびは小さく体を抱き締めた。 ふと、静けさが戻っていた。 「あたし・・・もう死んだのかな・・・」 少しだけ目を開けるとそこにはもうモンスターの姿はなかった。 砕け散ったモンスターの残骸と返り血を浴びて立つ若者。 髪は赤く逆立ち、額にはゴーグル、パタと呼ばれる両手袋。 「お前、大丈夫か?」 若者が手を差し出す。その両手には赤い鮮血・・・。 「ひっ!」 うさびは手をひっこめた。 「あ、、、わりぃ。」 若者は自分の手をみつめた。 「これじゃ、こわいよなw」 若者は川で血を洗い流すと再びうさびに向き直った。 「ここで何してる?」 ぶっきらぼうに語りかける。しかし、少しの優しさが伺えた。 「別に・・・・何も・・・」 頭の中ではお礼を言わなければと思うのに、 言葉がなかなか出てこない。 「ふーん・・。そっか」 若者はドスッと腰を下ろした。 「食うか?」 袋から干し肉を取り出すとうさびに投げて渡す。 「・・・・・・・・・。」 うさびは干し肉に手を伸ばした。 「だけどさ・・・。こんなとこまでハンマが出てくるとはな。 また誰かが魔法当て逃げしやがったな?」 若者が言うように基本的にモンスター達にはテリトリーがあり、 普段はそこから出てはこない。 しかし、魔法を当てたりするとモンスターは テリトリーのことなど忘れ、人間を殺戮する。 「そうなんだ・・・」 初めてうさびは口を開いた。 「お。なんだしゃべれんのかw」 若者の意外な笑顔にうさびも笑った。 「俺はシュカ。ま、いわゆる流れの剣士だ。 昔は傭兵なんかもしてたが、今はブラブラしてる。 そんで、お前は?」 「うさび・・」 シュカは袋から何かゴソゴソと取り出しながら言った。 「おい、これに着替えろ。目のやり場がねぇw」 ふと気がつくとさっき水浴びをしようと思っていたので、 リベットを脱いでいたのだった。 「ひゃぁ!!!!」 シュカは豪快に笑った。 シュカから渡された服は最近の若者達の間で 流行のヒップホップという装備だった。 木の影で着替えて出てくるとシュカはふっと笑った。 「なんだ、似合うじゃないか。 それが着れるってことは、Lv12は越えてるんだな」 「うん・・。でも、これって・・・かなり恥かしいんだけど・・・・;;」 女物のヒップホップはセパレートタイプなので上はビキニである。 「いいんじゃねぇ・・・?」 シュカはうさびを見て再び笑った。 つられてうさびも笑顔になる。 「おい、これは着れるのか?」 シュカがチェインアーマーと呼ばれる鎧を出した。 「多分・・・これはまだ無理・・。」 「へぇ、そうか」 シュカがゆっくりとうさびの顔に手を伸ばす。 うさびはびくっと身構えた。 「ばか、変なことしやしねぇよw」 シュカはうさびの額の髪をかきあげた。 「へぇ・・・。お前、剣裁なのか」 個人のそれぞれの職業・スキルは、 見抜く能力のある者は何であるかわかるのだという。 シュカにはその能力があるのだろう。 スキルを持つ者は体のどこかにその印が現れる。 普段は隠しているが、うさびは額にあるのだった。 「うん、、、そう。」 「じゃ、ちとこれやってくれ」 シュカはほころびのある服を取り出した。 「はう;;」 うさびはシュカが持っていた簡単な裁縫セットに手を伸ばした。 「お前・・・・不器用なんだな・・・まじで、剣裁か?w」 うさびはなんとか繕われた服をシュカに渡した。 「だって・・・。ギルドとか行った事ないもん・・」 「へぇ・・・なりたくないのか?剣裁」 うさびは目を閉じた。 「わからない・・・・。だけど、もって生まれた物でしょ? どうしようもないよ・・・・」 シュカはふと何かを考えるように額に手をあてた。 「どっかで聞いたことあるよ。たしか・・・。 転生の儀式・・かな。できると思うぞ」 「ほんと!?・・・・・・だけど・・・。」 うさびは地面に視線を落とした。 「自分が・・・何をやりたいか、 何になりたいのか・・・・・わからない・・・」 うさびの思いつめた表情を見てシュカは笑って言った。 「ばか、お前ぐらいの年で何でもわかってたら世話ねぇやw」 うさびもつられて笑った。 |
| 「第4章」 |
いつもの日々がまた繰り返される。 モンスターと戦い、傷を癒し、装備を整え、また戦う・・・。 しかし、うさびの現状は少し変わっていた。 シュカとパーティを組んでいた。 うさびの技量が伸びないため、シュカが放り出していけなかったのが 本当の理由であったろうが。 そんなある日のことだった。 パゴールの街にクレイモアの修理を頼んでいたため それを取りに、めずらしくうさびはパゴールへと来ていた。 「変わらないな、この街は・・・」 相変わらず、商人たちの掛け声が威勢良くとんでいた。 その中に、ふと違う言葉を見つけた。 「ギルド創設のためのメンバー募集中です〜」 「ニャンコニャンコ〜〜♪」 なんの呪文だろう?うさびはその声のほうに近づいていった。 「・・・・・・・・・?」 二人の青年が呪文を繰り返している。 「ニャンコニャンコ〜〜♪」 うさびは珍しく、他人に声をかけた。 「それ・・・・、なんの呪文ですか?」 黒髪の短髪の青年二人が振りかえった。 「呪文ではありませんよw」 「今度、ギルドを作るんです」 「ギルド・・・・・・?」 うさびは聞きなれない言葉に戸惑いを隠せなかった。 「私は、明影と言います。一応、ギルドができたらマスター予定です」 短い髪がよく似合う物静かな青年が口を開いた。戦士のようだ。 「僕は、ラムネード。明影さんの友人です」 もう一人の青年がそう付け加える。一目には戦士か魔法使いか わからない風貌をしていた。 「ギルド・・・てなに?」 うさびがそう言ったことに二人は顔を見合わせた。 「ギルド・・っていうのはね、うーん・・・・。なんだろwラムさん」 「そうですねぇ、みんなで助け合い励ましあっていく友達・・・かな? 仲間っていうのが1番近いかも。そういう集まりなんですよ」 うさびにとっては、ギルドという言葉も初めてだったが 仲間・・・・・という言葉にもっとひかれた。 シュカと一緒にはいるが、仲間というより師弟関係のような ものであったし、うさびはいつかシュカから「生徒」ではなく 「仲間」といってもらえるのが目標でもあったのだ。 「よかったら、入りませんか?」 明影の言葉にふと現実に引き戻される。 「あ、うん」 つい言葉がすべった。 「やった!!よかったね!ボス!」 ラムネードがうれしそうに言った。 「あ、あの、えっとぉ;;」 「じゃ、これ渡しておくね」 ラムネードが小さな指輪をうさびに渡した。 「なに?これ・・・・・」 ”こうやって使うんだよ” うさびの頭の中に直接ラムネードの声が響いてきた。 当の本人はうさびの前でニコニコと笑っている。 「な、なにこれ!?」 「チャットリングというものです。相手に直接話しかけることができる」 明影がそう教えてくれた。 ”テレパシーみたいなものかな?” ラムネードの声がまた響いた。 ”こうすればいいの?” うさびもたどたどしいながら返してみる。 ”そうそう!それでいいよw” 「にゃはははw」 3人は街の真中で笑いあった。 「じゃ、集会があるときに呼びますんで、来て下さいね」 「他のメンバーもいい人ばかりだから」 そう告げると二人はラスランのほうへ帰っていった。 「どうしよう・・・・・」 うさびは自分の手にはめられたリングをじっと見つめた。 幾日か経ったある夜。 盆地で焚き火をシュカと囲んでいたうさびにチャリンが入った。 「今夜12時から集会をします。ぜひきてくださいね」 明影からだった。 うさびはふとシュカを見た。 シュカは何というだろうか? 「自分が好きなようにすればいいじゃないかw」 多分そういうだろう。だが、それは少し寂しいような気もした。 約束の時間が近づいてきた時。 シュカがゴソゴソと起き上がる気配がした。 うさびが眠っているかこちらをうかがっているような気がする。 シュカはうさびがぐっすりと寝ているのだと思ったのか 静かに起き上がると、出かけていった。 今までも何度かこういうことがあった。 「彼女のところにでも行ってるのかな?」 そう思っていたため、気にはしないようにしている。 それに今日は、都合がいい。 うさびも起き上がると指定された酒場に出かけていった。 酒場では10数人の戦士・剣士・魔法使い・聖職者・盗賊・・・。 いろんな顔ぶれが揃っていた。 「まさか、この人たち全部なのかな?」 うさびは戸惑いながら近くの席に腰をかけた。 「あ!うさび、来てくれたんだ」 ラムネードがひとなつこい笑顔で近づいてきた。 うさびは知った顔を見て、少しほっとした。 「うん、一応来たけど・・・・・・」 「今からね、始まるから。こっちきて」 ラムネードに連れられて酒場の奥まで入って行く。 「ボス、うさび来たよ」 「いらっしゃい。ありがとう」 明影のいつものランニング姿。うさびはプッと吹き出した。 「おかしいですかね?」 「いや、似合ってるw」 3人は笑った。 「じゃ、そろそろ始めます」 明影の言葉に今までざわついていた酒場にふと静寂が戻る。 そして、皆がきちんと整列していく。 うさびも1番最後に並んだ。 「では、これから集会を始めます。とりあえず、初期メンバーは これで始めたいと思いますのでこれから自己紹介して いただきましょう」 端から順にみんながそれぞれの職業とこれからの意気込みを 伝えていく。うさびは必死で皆の顔を覚えた。 明影・ラムネード・:ハル:・チヨ・スウェイン・☆リシェカ☆ 石灯篭切虎鉄・ニャンコ先生・ナウシカ・ニャンキー あいにゅ・エイニス・裏レンジャー・ユフィー・・・・・・。 みな、それぞれに個性あふれるメンバーだった。 そして、これからの希望に満ち溢れている。 うさびはふと片隅に目をやった。 「あ・・・・・・・・。」 赤い髪の優しそうな青年。。。あのときのままの姿だった。 ”また会えるかもしれない・・・・・” それは真実だった。 「オクタさん!」 つい懐かしさから、呼びかける。 みんながこちらを振り返ってうさびとオクタを見比べる。 うさびは自分がかなり大きい声を出していたのだと、今気がついた。 とたんに、急に恥かしくなって顔を下へ向ける。 「ああ、うさびさんですね!?お懐かしい」 オクタがこちらへと歩いてきた。 「何?知り合いなの?」 ラムネードが興味津々に目を輝かせた。 「はぁ!?・・・うさびぃ!?」 その声に振りかえると、そこには・・・・・・・・。 シュカが呆然とした顔で立っていた。 集会が終わって、オクタ・シュカと一緒に酒場の席に着く。 シュカから聞いたが、深夜にこっそりと出かけて行くのは こうして集会に出席していたからだということだった。 「いや、俺の古くからの友人の女戦士がさ、ここに入るって 言ってて。ちょっと興味が湧いて」 シュカがちょっと照れくさそうにそう言った。 「僕は、勧誘されましてね。楽しみですよ、ギルド」 うさびは飲み慣れない酒に口をつけながら二人の話を聞いていた。 この二人って・・・・。生き方やなんかは違うけど・・・。 どっか似てるのかも・・・・・。そう思った。 「僕は友達が一緒に入るので、その時にまた紹介しますね。 ところで、うさびさんはどうされます?ギルド」 オクタがサワーに口をつけながら言った。 「ん・・・・。どしよかな」 確かに興味はある。皆おもしろい、個性のある人ばかりであったし 狩場で見かけたことがある人もいた。 それに、オクタやシュカがいるのならそれもいいかな・・?とも思う。 「なーにしけた顔してんの?!シュカ〜〜w」 ふいにシュカの頭の上にメイスが軽く振り下ろされた。 ゴツッツ!!! 一撃をくらって、シュカが立ち上がる。 「なにすんだ!!」 「プププ」 うさびはメイスの持ち主へと目を向けた。 ショートカットの髪・緑色に染色されたヒップホップがとても似合う まだ幼さが残ったような顔と、それに似合わないような 重そうなメイス。その微妙なバランスがとてもかわいらしい。 「チヨか。殴るな、いきなり」 「だって〜〜〜〜〜、久しぶりじゃんw」 「久しぶりだとお前はメイスで殴るのか?」 うさびとオクタは目を合わせて笑った。 「ぉ。こちらは・・・・・うさびちゃ?」 「ああ。今俺が教えてる」 「はじめまして、うさびです!」 急に立ちあがるとさっきの酒が効いていたのかフラッとよろけた。 「危ない!!」 オクタが手を伸ばしたが、うさびは後ろへそのまま倒れこんだ。 「おっと・・・・・(汗」 うさびを後ろから抱えたのはマント姿の赤い髪の青年だった。 腰にはクレイモアを携えている。 「大丈夫ですか?うさびさん」 青年は、うさびを席に座らせると、ふぅ・・・・・・と汗をぬぐった。 「うさびちゃ、大丈夫?」 チヨが心配そうに話しかけた。 「あ、だいじょぶwありがとう・・・・・えっとぉ・・」 うさびは青年を見上げた。先ほどの紹介で見かけた顔だった。 「スウェインですw」 青年は優しそうに笑った。 「ありがとう、スウェインさん」 「いえいえ。頭とか打ちませんでしたか?大丈夫?」 「あ、だいじょぶです」 シュカがため息を漏らす。 「おいおい・・・・。酔いすぎんなよ?w抱えて帰るのはごめんだぞ」 「もぉ・・・わかってるって。だーいじょぶ!」 うさびがそう答えるとチヨが笑って言った。 「うさびちゃ、シュカの生徒なんだってね。大変でしょ?シュカの相手ってw」 「バカ。俺ほど優しい男がどこにいるってんだ?」 みんなが笑った。 それから、オクタ・シュカ・スウェイン・チヨと色々な話をした。 そこで、チヨが昔シュカの生徒であったことも知った。 「うちもいつかチヨねーみたいになれるかな?」 シュカにこっそりと聞いてみた。 「さぁなw」 シュカはそうはぐらかすと、果実酒に手を伸ばした。 ふと、気がつくとフワフワ揺れている気がする。 「ん・・・・気持いいなぁ。なんだろぉ・・・・・ 昔、お父さんにオンブされてた時みたい・・・」 暖かい気持になりながら子供の頃を思い出す。 こうしてもらうのって・・・・・・好きだったなぁ・・・・・。 「・・・・・・・こう・・して・・・・?」 はっと我に返ると、自分がシュカにおぶさっていることに気がついた。 「ひゃぁぁぁ!!シュカ、ごめんっ!!」 「やっと気がついたか?」 「ごめん!!おりる!!」 「ま、いいよ。あと少しだし。黙ってろ」 うさびは恥かしさと安心感から何とも言えない気持ちになった。 「シュカぁ・・・あのさぁ・・・・」 「なんだ?」 「うち・・・・・・・ギルド、入ろうかな・・・・?」 シュカがふと足を止めた。そして、また歩き出す。 「いいんじゃねぇ?」 たった一言だったが、うさびを決心させるのにその一言だけでよかった。 |
| 次作品へ、乞うご期待 「ごめんなさい!快くお名前を使わせくださった友達にみんなに・・・・・・・ 感謝!感謝!ですっ♪ありがとぉ!!(*^-^)」 |