☆オクタ☆のサブストーリー

「メイス6の賢者物語」

 

第1章(幼年期) 第2章(幼年期) 第3章(幼年期) 第4章(幼年期) サイエーフ風サラダの作り方
第5章(青年期) 第6章(青年期) 第7章(青年期)    
焔編Prologue
(成人期)
焔編第1章
(成人期)<new>
     

 

第1章

「セィヤー、セィヤー、セィヤー」
棍を頭上から振り下ろし、また振り上げる。その繰り返し。
「手首のスナップを使わんか!
肩だけで、振り回すんじゃない!」
親父の激が飛ぶ。
だが、鉄棍は振り下ろす反動で暴れ、取り落とさないようにするのが
精一杯だ。

おいらの名前は、オクタヴィアヌス。
みんなからは☆オクタ☆って呼ばれてる。
ギクッ、☆の意味はって?
…今度、心が平安な時にね。

じゃあ家族の紹介からするね。
まず俺らの素振りをみている親父、
名をオクタゴンという。元傭兵で、そこそこ有名な戦士だったらしい。
次に、クレイモアとかいった剣をもって納屋に向かっている…はぅ、母親。
名前は、アフィ。
親父と同じで、元傭兵。
ふたりはどこかの深い洞窟の中で知り合ったらしい。

その他に、兄が3人いるんだけど、みんなもう家を
でて、冒険に旅立ってしまった。みんな立派な戦士だ。
次男の・・・。 よそう。命がいくつあっても足りない・・・
そうおいらは、男兄弟の末っ子の4男。
もうわかっちゃったと思うけど、うちでは、小さい頃から
戦士の修行を日課に、毎日、みっちり鍛えられます。
でも、おいらは嫌いなんだよね。小さい頃から体が弱いし。
この前、連れて行かれた訓練場では、スライムをボーと見てたら
他の訓練生から、杖で殴られたりして、死にそうになったし。
それに、小さい頃から、血を見るのが苦手だったりする。
いまだに母親の豚への「妖烈斬!」を見ると気持ち悪くなる。

「ねえオク。今日はガウショ焼きでいいかしら?」
「うん。なんでもいいよ」
「そう。」
「今日のおかずはどの子かな・・・じゃあお前かな・・・ハァーッ 千糸裂戒。」
「ねえオク、肝食べる、肝?まだホカホカよ♪」
「うっ」
気持ち悪い。。

「まったく、あの子ったら、誰に似たのかしら・・・
お兄ちゃんはみんな立派な剣士になったのに。 はぁ・・・」
「お前、昔ハンマーでタイタンかち割った話をしただろ。
あれからじゃないか。オクがメイス使いになったのは」

ふぅ。別にハンマーがかっこいいなんて思ってないのに。
ハンマーなら、血をあまりみないで済むもんね。
あーあ。また明日。訓練場に行かなきゃいけないのか。
憂鬱だ・・・
訓練場には、親父達を含めて、傭兵が集めてきたという
モンスターがいっぱい放し飼いにされてる。
明日、また疲れるから、今日は早く寝よう。

「じゃあ、行って来ます。」
「オク、ママが教えた破妖恨撃の技、使ってみるのよ」
「オク、てめえカックンなんかしやがったら、ただじゃおかねえからな」
「・・・・行って来ます・・・」
訓練場は、いつもの賑わいを見せていた。

あいつが弱そうだな・・・

カックン
あっという間に、担架で運び出される。
「はぅ・・・」
今日は、やめて、教会でメイスの練習をしようっと。

「こんにちは」
「おーオクタ君、来たね。ちょうど良かった、この患者の足を押させていてくれ」
神父のクレドさんは、ラスランでたった一人の神父さんである。
あたり前だって? そう、ここの教会では巫女さんが祈りの中心で、
クレド神父は、もっぱら雑用係。
でもおいらは、そんなクレド神父が大好きだ。
今は、水晶をみがいたり、怪我人の回復をしたりしているクレド神父だけど
昔は、親父達と、一緒に冒険し、「鉄棍のクレド」と呼ばれていたらしい。
親父達もメイスはあまり得意では無いので、おいらの特訓は
もっぱらクレド神父を呼んで受ける事が多かった。

「クレド神父、回復の魔法って難しいですか?」
おいらは痛がる怪我人の足を押さえながら聞く。
「んー、ある程度適正は必要だろうが、まあ経験を積むだけだな」

「天と地にある精霊よ。この愛しき兄弟に御心の癒しを、キュア!」
怪我人の患部が、みるみる塞がっていく。

「わーすごい!おいらも聖魔法覚えてみたいな。」
「こらこら、またお父さんに怒られるぞ。
でも、そうだな。試してみるか?」

「取り込み中すんません。クレド神父、ありがとうごぜいやした」

「ああ!これからは、気をつけるんですよ」
戦士は、お布施を払うと、足早に出て行った。
「じゃあ、オクタ君、やってみるか?聖魔法?」
「うんうん」

クレド神父は、おいらを教会の水晶の前に連れていって、こういった。
「じゃあ、邪霊退散をやってみようか」
「はい」
「じゃあ、自分の言葉を繰り返して。。」
神父は、精神を集中して、呪文を唱え始めた。
「神の御心が降りふる我と精霊の名において、邪心よ地に」
「神の御心が降りふる我と精霊・・・・」
「最後に、ホーリーミサイルと唱えて、私に力を解放しなさい。」
「邪心よ地に、ホーリーミサイル!」

「うっ!」
「クレド神父!」
おいらは、神父に駆け寄ったが、神父はパラパラと手を振る。
「ははっ、大丈夫。ちょっとびっくりしただけだよ。
しかし驚いたな。オクタ君はすごい理力をもっているよ」
「そうだ。今度、理力トーナメントがあるんだが、出てみないかい?
自分も時間があれば出てみたいんだが」
「はい!あっでも、父さんが・・・」
「そうだったね。まあ、相談してみなさい。
でも君は、魔法を操るセンスがある。
トーナメントだけでも参加して欲しいな。」
「・・・じゃあ」

その夜、親父は上機嫌だった。
なんでも豚から宝石が出たとかで、酒も入ってたせいか、笑い転げて
「あぁー。りろくこんてるとだー。よし、おととならビヒっと行ってろい」
とあっさりOKが出た・・・
まあ、いっか・・・

 

第2章

コンテスト会場は混みあっていた。
「ふぅ」
家を出てくる時、親父は、のん気に寝ていたけど
母親は心配げな顔をしていた。
やっぱり反対なのかな・・・

とりあえず、もっとも混んでいる受付に向かう。
「オクタ君!」
自分を呼ぶ声に振り返ると、教会でよくみるガルダさんが笑顔で立っていた。
「ガルダさん」
「コンテスト出るんだってね。クレド神父に聞いたよ」
「ガルダさんも出るんですか?」
「うん。クレド神父から、わしの弟子としては、恥ずかしくない成績を残せ!
って言われたりしちゃってるしね。自身は無いけど」
「すごい人ばかりなんでしょうね?」
「そうでも、ないんじゃないかな、ラスランの中だけだから」
「そうなんですか・・・」
「まあ、がんばろうよ。」
「はい・・・」

ガルダさんは、さっさと受付を済ませると、おいらの受付まで
勝手に済ませてくれた・・・うっうぅ・・・

「紳士、淑女の皆様、お待たせ致しました。
それでは、只今から理力コンテストを始めたいと思います。」
司会のおじさんが・・・ってあの人・・・
ともかく司会のおじさんが、歓声の中、挨拶とルール説明を行っていく
ルールは結構簡単らしい。
魔法で作った宙に浮く火の玉を、理力で押し合い、自分の体まで
押された方が負けという単純なものだ。。

いよいよ、おいらの番がまわってきた。
審判を見ながら、開始の合図を待つ。
・・・で、でもどうやればいいんだ・・・さっぱりだ・・・
「始め!」
わっ、わわ!開始直後、いきなり火の玉が迫ってくる。

「オクタ君、風を送るイメージするんだ、強い風を」
おいらは、目もつむり必死に、突風が背中から吹いてくるイメージをする。
「そこまで!」
「えっ」
「一回戦、オクタビアヌス選手の勝利」
えっ、えーーーーーーーー
なんか、相手の選手は、服が軽く焦げていた。

「オクタ君、すごかったね。火の玉が、
ファイアーミサイルのように飛んで行ったよ。」
その後、おいらとガルダさんは、順調に勝ち続けたようにみえたが、
ガルダさんは、準々決勝で負けてしまう。
「オクタ君!次は準決勝じゃないか!自分の分までがんばってね。」
「はい、自信無いですけど・・・行って来ます。」
いよいよ準決勝。
さすがにここまでくると強い。
おいらは、ガルダさんに、応援されつつ、競技場にすすみ出る。
「では只今から、準決勝を始めます・・・」
観客の歓声も静まる。

「始め!」
おいらは、最初から暴風雨が荒れ狂うイメージをした。
しかし火の玉は、じわじわしか動かない。
なっ、なんで・・・
そして額に汗がつたい始めた頃、ついに集中が途切れた。
「わっ!」
飛んできた火の玉をよける。
つまり、結局負けてしまったのだ。。。

ガルダさんと共に、優勝商品の強化されたケープ欲しかったね
と話していると、後ろからマント姿の老人に杖で突付かれる。
「おい」
「なんですか?あぅ、痛いから止めてください」
「お前さん、準決勝で負けた坊主だな?」
「そうですけど、それが何か?」
なんだ・・・このじじいは・・・

はっ、もしかして・・・
儂の若い頃はなー話を延々とする話したがりじじいか!

「わしの若い頃に・・・」
やっぱり・・・ヒィー

じじいは、延々と30分は、話し続けた。
「・・・どうだ、儂のところで修行をせんか?」
「・・・ ・・・ ・・えっ?」
「だからの。お前さんは、力はあるのに、使い方がなっとらん
儂のところにくれば、家事雑用をするだけで、みっちりしごいてやるぞい」

・・・あやしい。
ただの雑用係りが欲しい爺な、だけな気がする・・・

「ウィスト様、こんな所で何をしているですか?賞品授与にきてください。」
爺を呼ぶ中年のおっちゃん・・・
「それでは、賢者ウィスト殿から、優勝者に賞品の・・・」

えっ、えーーーって知らない・・・
ガルダさんに聞いたら、有名な賢者らしいが、今は隠者らしい。
雹風のウィストとかなんとか・・・

そのウィスト爺が、ステージから帰ってきた。
「どうじゃ、おぬし、来るのか?来ぬのか?」
「でも、家は戦士の家系だし・・・」
「勿体無いのう、おいしいサラダがいつでも食べるのに」
「えっ、本当?」
「ああ、氷の魔法を覚えれば、野菜はいつも新鮮なままじゃぞ。
そういえば、戦士の家系とかいったか?
お前の家では、生の肝を食べたりせぬか?」
「う、うん。温かいうちに食べろって・・・」
「悲しいの。魔法使いがおらんグループじゃったんじゃろ
戦士だけのグループは、狩りの途中でゆっくり火なんぞを
焚いている時間は無い。すぐにモンスターが来るでな
それに比べ、魔法使いは、一瞬で丸焼きだ
それも冷凍野菜を持ち歩いて、いつでもサラダが食べれるぞい」
「どうじゃ、修行してみる気になったか」
「うん、でも・・・親に相談してみないと・・・」
「そうか、気がむいたら、来なさい。
ラスランの魔法使いギルドで待っとるから」

しかしその夜も、親父は上機嫌だった。
なんでも蟹から樽が出たとかで、酒も入ってたせいか、笑い転げて
「あぁー。まひょうとかいになりたいらー。
よし、おれらたてになってひゃるからびっしっといってろい。」
とあっさりOKが出た・・・
本当なのか、このおやじ・・・

 

第3章

その日の夜はあまり眠れなかった。
戦士の家系に生まれた自分が、魔法の世界に踏み出すことに
戸惑いがあったのかもしれない。
ただ戦士にしては力が弱く、あまり成長が期待できない
自分にとっては、新鮮なサラダがいつでも食べられるという
魔法使いへの道は、非常に魅力的だった。
そして、著名な雹風のウィストさんからの誘い・・・
少し早めにベッドから出ると、外は霧雨が降っていた。

水除処理したローブを羽織って、外にでかけようとすると、
後ろから声がかかった。

「オクタ?」

なぜ、おやじは寝ているはず。
振り返ると、かあさんが静かな目でこちらを見ていた。

「すこし話があるんだけど・・・。納屋で話そうか。」
納屋と聞いておいらは戦慄した。
そこは常に、豚達食料の屠殺場であった。
・・・殺されるか、半殺しにされる・・・
戦士としての技量は、親父の方が上だが、母さんは、敵に容赦無い事で有名だった。
自分は、一度だけ、母親の本気の狩りを見たことがあった。
弱い敵の時は、楽しそうに、踊るように狩る母親だが、
対等の敵には、冷えた目で、電撃のような狩りをするのだ。

母親は、自分の手をやや強い力で引くと、そのまま納屋まで連れていった。
納屋には、まだ血が拭いきれていないクレイモアが立てかけてあった。

「いくんだね?」

確認じゃない、断定的な言葉だ。

「・・・」

何を話したら良いのかわからず、おいらは黙り込む。
すると母親は立てかけてあったクレイモアを手に取った。

・・・やはり・・・殺される・・・

しかし母さんは静かに話し始めた。
「オク。お前の兄さん達は立派な傭兵になっている。
でもママはね。
お前には、パゴールを守る騎士になってもらいたかった。
お前の兄さん達は、たしかに強いけど、あんな調子だろ。
だからママは、お前だけと思って、おとなしくとも、
なるべく礼儀正しく育ててきたつもり・・・。」

おいらは初めて聞いた話に、びっくりした。
騎士って、あの首都にいるっていう・・・

母さんは、クレイモアを振り回しながら、すこしうつむき、
静かに、静かに、次のように言った。

「ママに、妖魔退散、撃ってみなよ。」
目が狩りの目になっている・・・

「な、なんで・・・」
「なんでもいいから、早く撃つ!」
クレイモアが振り上げられた!
おいらは、早口に呪文を唱え、母さんに撃ち込んだ

「効かないね〜。こんなので、冒険に出るつもりかい?もう一回!」

クレイモアは体の左右に縦に振られ続けた。
しかも徐々に、感覚が狭まっていく。
一歩でも左右どちらかに動けば、真っ二つだ。

自分も呪文を唱え、撃ち続けた。そして
「うっ?」
「母さん?」
母さんはクレイモアを振るのをやめ、笑いながらまた話し始めた。
「ママね。回避には、自信があったんだけどな〜
行っておいで! あたいにダメージを与えられるなら本物だよ。
でもこれは持っていきなさい。」
母さんは、クレイモアを置くと、納屋の奥からヘビーメイスを取り出した。
「前に話したタイタンの兜を叩きわったメイスだよ。いつか使ってほしいな。」
おいらは重そうなメイスを受け取った・・・お、重い。
「重くて持てそうも無いよ、母さん」
「しかた無い子だね。倉庫に入れて置くからいつか取り出して使いなさい
それじゃ、これは持っていきなさい」
渡された皮袋には、100ランス入っていた。
「いいの?」
「がんばってきな。でも当面帰ってくるんじゃないよ。
パパと2人で、お前の弟作んなきゃいけないからね。キャッ」

母さんは、笑いながら、涙を流していた・・・


魔法使いギルドにつく頃に、雨は上がり始めていた。
ギルドの中に入ったのは、いいものの、受付らしきものが無い。
ふと、気になった展示されている本を、見ていると。

「膝カックン!」

後ろから誰かがおいらの膝を折り、膝カックンさせられる。
痛っ
「来たの。坊主!」
「あっ。ウィスト様!ひどいですよ〜」
「わしの膝カックンを、避けられんような奴は、豚の攻撃さえ避けれんぞい」
「でもそれと魔法は、何か関係あるんですか?」
ウィスト様は、一歩だけ下がって言った。
「あ、あるわい。魔法使いだから後衛と決め付けてる奴に限って、
おっ死んじまうじゃ!」
そして、考えげに、うろうろした後、さらにこう語った。

「え、えーい。まずは実践じゃ、訓練所にいくぞ。ついて来い!」
「でもウィスト様、訓練場への初心者以外、立ち入りが禁止されているのでは?」
ウィスト様は、杖でおいらの頭を叩いて、こう言った。
「馬鹿者め。誰がモンスターをあそこまで運んでいると思うのじゃ。
わしぐらいになれば、顔パスじゃ、顔パス。
それにな、今からわしの事は、老師と呼べ」
そして、おいら達は、さっそく訓練場へ向かったのだが・・・

「老師、どうして裏口から入るのですか?」
ポカ。また杖が飛んでくる。
「馬鹿者、モンスターを運ぶ場所から入るに決まっとるじゃろうが!」
「失礼致しました。なんかコソコソしているような気がしましたので。」
ポカ、ポカ、ポカ。
あー。痛い・・・何もそんなに叩かなくてもいいのに・・・
はたして無事、裏口から入ったにも関わらず、老師はさらにうろうろしていた。
「老師どうなされました?」
「ひ、ひさしぶりじゃからの。おぉ、たぶんあそこじゃ」
老師が廊下の奥へと進んでいくと思ったら、いきなり引き返してきた。
「隠れるんじゃ!」
小声でいう老師
「なんでですか?」
小声で聞き返すおいら
「隠居したわしが、おったらびっくりするじゃろ〜」
「そんなもんですか?」
ポカ。
「そんなもんなんじゃ!」
衛兵が通り過ぎた後、おいら達は、また奥に向かい、
そして一番奥の部屋に入った。

そこの檻には、沢山のモンスターが詰め込まれ。
こちらをうらめしそうに見ていた。
「おいオクタ。お前は炎と氷、どちらの魔法が好きじゃ?」
「氷かな・・・」
「なんでじゃ?」
「だって旅先でも新鮮なサラダを食べられるでしょ」
「ああ、そうじゃ。チルドと言うての、野菜を凍らせる技がある」
「へーチルドですか。いいな〜」
「炎の魔法だと攻撃しながら調理できるぞい?」
「いえ、サラダの方がいいです。」

老師は遠い目をした。
「わしもそうじゃったよ」

老師は優しげな目で笑うと、今後は真面目な顔つきになり・・・
「よし。じゃあそちら側の檻を全部開けなさい。」
老師が指す檻には、オークが8匹入っていた。
「えっ老師?・・・」
老師は、既に精神集中に入っていて、手だけで合図した。
そしておいらは、檻をあけ、出口に逃げる。
老師の周りにオークが群がる。

老師は、薄く目を開けながら、呪文を唱えた。
「氷雪の魔狼フェンリルよ、我らが廻りの愚かなる者を引き裂け・・・
アイスウェーブ!」
老師の周囲に雹の混じった氷嵐が巻き起こる。
8匹いたオークは、ことごとく雹による裂傷と凍傷でこと切れていた。

「す、すごい・・・」
「これがアイスウェーブじゃ。いつかお前さんも使える日がくるじゃろ」
老師は楽しそうに、ニヤリと笑う。

「なんだ、なんだ!今の音はなんだ?」
遠くから騒がしげな声と足音が近づいてきた。
「いかん。オクタいくぞ!」
「えっ、ろっ老師!」
おいら達は、時々、柱の影に隠れながら、もと来た道を戻って訓練場を出た。

「こら、キョロキョロするんじゃ無い!」
ポカ
「だって、老師。まずいんじゃ・・・」
「なにがじゃ? わしが何をした? 人を殺めたか?」
「いえ・・・」

そうこう話している間に、衛兵が近づいてきた。
「これは! 賢者ウィスト様では無いですか!」
「騒々しいのう。何かあったのか?」
「はい。何者かが訓練所に押し入り
訓練場に放す予定だったオークが、その者の手にかけられました。
またどうやらアイスウェーブを訓練場で使った者がおるらしいのです。」
「ほう?それは物騒じゃの。人間の怪我人は出ておらんのか?」
「はい。幸いに。」
「そうか。何かあったら力になるでな。いつでも言って欲しい。」
「ありがとうございます。ところで老師はここで何を?」
・・・もう駄目だ・・・
おいらは覚悟をした。
「いやー。この弟子をの。
訓練場まで連れて来る所じゃったんじゃが〜
この騒ぎなら駄目じゃの。またにするか、オクタ?」
「は・・・はい・・・」
「じゃあの。見回りご苦労さん」

そして老師は上機嫌で、おいらを連れて魔法使いギルドまで戻っていった。
なんかめちゃくちゃな人だな。この人で大丈夫なのかな。
でもアイスウェーブだったかな、いつか使える日がくるのかな・・・
 

 

第4章

「こら!集中するだけじゃだめじゃ!セフィロトから理力を滑らかに流さんか!」
「違う!その呪文の抑揚は、エフ+1のゆらぎを持たせるんじゃ!」
「細胞膜の水分は、再氷結温度に合わせんか!そんあ事じゃから野菜の鮮度が失われてしまうんじゃ!」
うー。
ウィスト老師の特訓は、ともかく何を言っているかわからない・・・。
専門用語ってやつかな、知らない言葉ばかり出てくる。
尋ねると、そんな事も知らんのか。ポカ!
って杖で殴られる。
なんとなくイメージはできるから、少しずつわかるけど。。

「今日はここまでじゃな。じゃあ書庫の掃除と、買出しを頼んだぞ。」
「おお、そうじゃ!前に頼んだ本の転記な、もう5冊追加じゃ。よろしくの」
うーーーー。
「それから買出しの前に、湿原に行くんじゃぞ。逃げ回ればよいからの!」

賢者ウィスト様の下の弟子入りしてからは、
1刻の専門用語だらけの特訓と雑用と、湿原散策の日々がつづいている。
そう老師に弟子入りしてからしばらくして訓練場を卒業したおいらは、
今では実戦が訓練の場となっている。
老師に弟子入りしてから驚いたのは、訓練場を卒業するまでは、
魔法を当てて逃げ回れば良いという指導方針だった。
敵を倒さなくても良いというのは、両親の言いつけとかなり違ってた。
なんでも回避を、技でなく体で覚えるんじゃーとの事らしい。
魔法使いは、一歩でも逃げれれば勝ちなんじゃ!
というのが老師の口癖だったりする。

書庫の掃除を済ませると、おいらは湿原へ向かった。
まだローブは着せてもらえないので、ただの服を着て、湿原を散策する。
湿原は混んでいた。正義感の強い人間が増えたせいか
モンスターが出現したら、すかさず退治されてしまう。
しかしモンスターが減らない現実をみると、まだまだ旅人にとって
町の外は危険な場所に変わりない。
おいらは人の間をすいすい通り抜ける。
老師の教えを守って、モンスターから逃げる練習を重ねた結果、
体捌きがずいぶんと上達している為だ。

おいらは近くのゴブリンに狙いを定めると、2歩離れたところからミサイルを
撃っては離れ、また2歩の距離まで近づいてミサイルを撃つ。
「よし。あと少しだ・・・」
しかし倒せる後少しの時
突如として、自分の周りにオークとゴブリンが湧き上がる。

このままじゃ、囲まれる!
こいつを倒して、前に逃げなくちゃ・・・
おいらは最後の理力を振り絞り、アイスミサイルを放つ。
理力を解き放った感覚はあったが・・・

具現化しない・・・
不発か・・・もう、駄目だ・・・
ふと母親の顔が浮かぶ。

はっ破妖恨撃・・・

おいらは袋から棍棒を取り出すと、
目の前のゴブリンに向って棍棒を振り降ろす。
「破妖恨撃」
ゴブリンは、一撃で頭が陥没し、そこに倒れた。

・・・この技にこんな力があるなんて・・・
続いて右から来たゴブリンに向かって、棍棒を振り下ろす。
わずか2振りで倒れるゴブリン。
そしてそのまま安全地帯まで逃げる。
訓練所に行く前は、棍棒で、こんなに力が出せた事は無かったのに・・・
やはり技なのかな・・・
でも今憶えいている魔法はどうなっちゃうんだ。
おいらは考え込みながら、足はいつしか教会へ向かっていた。

「おーオクタ君、どうしたね?」
知らない間に教会についていた。
「クレド神父・・・」
おいらは、今日の湿原での出来事を話し、
そして魔法とメイス技能の効力の違いの悩みをうちあけた。

「そうだな、確かに魔法は初期の魔法使いにとって、
それがそのまま敵を倒す力になるわけでは無いね
でも、いつかはより大きな力を得る事になるし、
それに君がやってみたかったんじゃないのかな?」

「まあ、発動する頃まで経験を積む過程では、
メイスでいくのも良いのではないかな
私も、教えがいがあるしな。」
クレド神父はにこやかに、でも真摯に話してくれた。

おいらはふとクレド神父の後ろで、怪我人の世話をしている
新しい修道生が気になって神父に尋ねた。
「クレド神父。彼は?」
「あー彼か。彼はSibamura君といって、聖魔法の修行にきているんだよ。」
「Sibamura君、こちらへ来てくれるか?」
彼Sibamuraはゆっくりとこちらに歩いてきた。
「Sibamura君、こちらはオクタ君だ。うちへの通学生なんだが、
いろいろある子でな、年も近いので仲良くしてやってくれ」
「わかりました。」Sibamuraは静かに許諾の意を表した。
「我が名はSibamura。世界を記せしもの。よろしく頼む」
なんだか伝承にでてくるような喋り方だ・・・
「おいらは☆オクタ☆、クレド神父にはメイスを習っています。
でも今は魔法の習得で来てないけど・・・。」

おいらはSibamuraさんの筋肉の盛り上がりをみて、ふと訪ねる。
「Sibamuraさんも冒険者でしょ?武器は何を使うの?」
「我が武器は真実を描く筆なり、ただし正義の為、時として剣を持つ事もある。」
「ふーん、剣なんだ。おいらは魔法なんだけど、メイスもいいかなと、最近悩んでるんだよね」
おいら達が話し始めるとクレド神父は
仲良くなと言葉を残して、奥へ歩みさった・・・かに見えた。
「そうだオクタ君、帰る前に一度寄ってくれるか」
そう話すとまた奥へ言ってしまった。

「ところでSibamuraさんはどんな技使うの?」
「Sibamuraで良い。我はまだ未熟ゆえ今はまだ技は持っておらぬ」
「あっ、じゃあおいらの事もオクタでいいからね。
そうなんだ、おいら一つだけ、母親譲りの技があるんだ。見てみる?」
「頼む」
おいら達は、教会裏の訓練用広場に移動し、仮想敵の案山子に向きなおった。
「じゃあ、やってみるね。」
おいらは棍棒を手に持つと、頭上に大きく掲げ、
楕円を描くように棍棒を振り下ろした。
「はー、破妖恨撃!」
案山子は頭の部分の藁だけが少し飛び散った。

「ふむ、ふむ・・・。」
Sibamuraは、一部だけ壊れた案山子を触りながら何かを考えているようだった。
「ところでオクタは、魔法使いなのであろ?
なぜメイスの腕を上げる必要があるのだ?」
うっ・・・痛い所をついてくるな・・・するどい・・・
「う、うん・・・魔法は発動しない事があるんだ。
コツなのか鍛錬なのかわからないけど、
魔法だけでオークが倒せたら自信が持てるんだけどね。
今はまだ、スライムやバンデットに魔法を撃ちながら体捌きの練習ばかりだな」

「ふむ、体捌きというものも必要なのか?」
「基本的に、魔法使いはあまり必要ないらしいけど、戦士は必要だと思うよ。
うちの実家の人間はみんな戦士なんだけど、小さい頃から
剣を振られている間を、避ける、的確に動く練習させられてたし。
今の魔法使いの老師も体裁きは、一歩さがる為に必要じゃとか言ってるし。」
「ふむ、今度教えてくれるか?」
「そうだね、今度パゴールの先の盆地に遠出する予定なので、
そこから帰ってきたら、その時にね。」
「よろしく頼む。ところでオクタ、その買い物かごのような物は何につかうのだ?」

「あーーーーーー。急用思い出した、また今度・・・」

おいらはクレド神父に呼ばれたいた事を思い出して、クレド神父を探した。
うー、絶対に老師に怒られる・・・
「クレドさん、クレド神父!」
「オクタ君、どうした?そんなに慌てて?」
「老師の買出し忘れてました。急いで帰らないと・・・」
「そうか大変だね君も・・・
じゃあ、話は今度にしよう、君ももう少し鍛錬が必要なようだしな。」
「じゃあ、すみません。ありがとうございました。また遊びに来ます〜」

おいらは教会を出ると近くの農家の家で、
買出しの野菜を買って大急ぎで魔法使いギルドに戻った。
ろ・・・老師は、ギルドの入り口で待っていた・・・
「遅かったの?」
「あ、あの湿原でいろいろ退治してたものですから・・・。すみません」
「ほー」
老師は目を細めると、おいらの事を上から下まで見回した。
「血の匂いがするの?
どうしてアイスミサイル使いが血の匂いをさせとるんじゃ?」
「・・・実は、」
おいらは湿原で棍棒を使った事、教会に寄った事を打ち明けた。
「そうか、クレドもそう言っておったか・・・
まあ、お前の好きにすればええ。
ただの〜、早よう一人前の氷使いになってくれんか?
わしも長うないでの・・・」
老師はまた遠い目をして、すこし悲しそうな表情をしていた。
「そろそろお前にもアイスソードの魔法を教えても良いかもしれんの」
老師は笑顔に戻ると、おいらの頭をクシャクシャにしながら買い物籠を受け取った。
老師は背を向け、奥へ歩みゆくかに見えたが、
足を止め、肩を震わせた。

「オクターーー! なんでお前はロメインレタスを買ってくるんじゃ。
わしが言ったのはリバーグリーンレタスじゃろが!
さっさと買いなおしてかんかー、馬鹿者!」
ポカ、ポカ、ポカ、ポカ、ポカ、ポカ、ポカ、ポカ、ポカ、ポカ、ポカ!
「ヒィー。どんな違いがあるんです〜?そんなマイナーなレタス・・・」
 

 

サイエーフ風サラダの作り方

賢者ウィスト「オクタ! 今日のブランチは何じゃ!」
☆オクタ☆ 「はい、サイエーフ風サラダにしようとかと・・・。」
賢者ウィスト「ほー、そりゃええの!チルドの魔法も完璧であろうな?」
☆オクタ☆ 「えっ、いや、あの〜」 ポカ!

今日は、中央平原の下にあるサイエフ平原で、珍しい野菜を元に作られたという
サイエーフ風サラダの作り方を紹介するよ


                  サイエーフ風サラダの作り方

<材料>
グリーンリーフレタス    自分が食べたいだけ
ロメインレタス        自分が食べたいだけ
キュウリ            自分が食べたいだけ
サニーレタス          少々
フリルレタス          少々
ブリーオの実         自分が食べたいだけ
ブリーオオイル        好きなだけ
コミサルバ・ビネガー     ブリーオオイルと同量
フェタチーズ          2人分だと5cm×5cm×2comぐらい

<作り方>
○野菜は、チルドの魔法(アイスブレードの改変版)で冷やしておきます。
○少し深めの皿に野菜の材料を全て入れる。
○その上にフェタチーズを乗せる。
○ブリーオオイル、コミサルバ・ビネガーを振りかけ、完成。

フェタチーズを崩しながら、食べると美味!
フェタチーズは山羊乳から作るチーズ。
ミノタウルスの乳から作るのとは違うから要注意だね!
少し臭くて、塩気が強いけど、すごく美味です。

 

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